老後資金の運用法
これから老後のために資金を貯めようとお考えの方、退職金を第二の人生のために有効に活かそうとお考えの方、
その資金をどのように扱いますか。
現在の預貯金金利では10年預けても受取利息は雀の涙、資金を増やそうとかインフレに備えようとお考えなら、それに見合った「リスク」を取って投資商品を検討することも必要です。
預貯金だけのリスク
(図参照:gooサーチ)
日本人は国民性から勤勉で貯蓄率が高く、多くの金融資産を保有しています。しかし、上の図に示しますようにほとんどが預貯金に預けられ、老後資金作りや退職金の有効活用を考えるとあまりにも心許ない状況です。
預貯金だけの金融資産には次のようなリスクがあります
- インフレリスク
-
預貯金は元本割れは無いとはいえ、額面金額上の元本です。
もしインフレになれば預貯金金利以上に円の価値が落ちる可能性があります。 - 円資産リスク
-
円資産だけで金融資産を持っているリスクもあります。
海外移住する気はないし、海外旅行もあまり行かないから関係ないとお考えかもしれませんが、実は円の価値が下がると、物価が上がるのです。世界視野での資産保全を検討しましょう。
|
現在の預貯金金利は、コンマ以下の状態です。とても金利で金融資産を増やせる状態ではありません。
金利が1%と7%では10年で2倍、20年で3倍以上の開きがあります。高金利投資がいかに有効か分かりますね。
金融資産の海外比較
(資料:日本銀行調査月報(2004年1月)<資金環境統計の国際比較>)
米国でも2027年までに公的年金の支給開始が67歳に引き上げられるとのことです。アメリカでは、日本よりも老後資金に対する考え方も自己責任が徹底しています。
上図に示しますように、米国では資産を預貯金以外の投資商品(株式など)で保有するのが一般的になっています。長期的に見て資産をうまく有効活用しているのが米国の資産配分です。
それに対し、日本では相変わらず預貯金偏重の資産配分になっています。預貯金だけのリスクにも書きましたが、インフレなどの金融情勢の変化や数十年先の資産価値を考えると、かえって預貯金への偏重がリスクをかかえていると考えられます。
分散投資が重要
値下がり「リスク」のある金融商品は怖くてとても預けられない、とお考えかもしれません。
しかし、リスクをうまくコントロールするいくつかの方法があるのです。その中から代表的なリスク対応投資法をご紹介します。
- 運用対象の分散
-
一般に、債券と株式では投資マーケットが異なり一方が値上がりする局面で他方が値下がりすることが多いのです。
このように、値動きの異なる複数のマーケットに資金を分散すればリスクを分散することができます。(下表「マーケット分類」参照)
さらに個別株投資でも値動きの異なる複数の株に分散投資する方がよりリスクは下がります。 - 時間分散
-
株式投資と債券投資の有利不利に示したグラフのように、値動きの激しい個別株でも、長期的に見れば穏やかな値動きになります。
リスクの高い株式市場や為替市場に投資するときは、一度に投資額を使い切るのではなく、時期をずらして投資しましょう。そうすることで、リスクの平準化ができます。
|
すべてのマネー商品は上記のうち、単独または複数のマーケットに影響を受けています。ご自分が投資しているマネー商品がどのマーケットで運用されているか理解しておかれるのが賢明です。
投資商品研究
具体的な投資方法は人それぞれ、自分にあった投資配分はご自分で選ぶしかないのですが。
たとえば次のように、資金を大きく三つに分ける方法があります
- (流動資金)いつでも引き出せる流動性の高い資金
- (安全資金)元本を確保したい資金
- (利殖資金)積極的に利殖をねらう資金
分割した三つの資金にそれぞれに適した投資商品を割り当て、適宜組み合わせを見直すのです。
分散投資を実現するためには、具体的にどのような金融商品に投資すればいいのでしょうか。解説記事を参考にご自分に合った分散投資を実現してください。
流動性資金
- 普通預金(銀行)
-
使い勝手は優れているが、金利は低い
各種振込先や預金引き出し用には必要 - 通常貯金(郵便局)
-
元本は国が保障、出し入れ自由
日本全国どこにでもあるのが強み - MRF(証券会社)
-
普通預金のような投資商品
元本保証はないが、普通預金よりも金利は高め
短期金融市場や公社債などの安全な市場で運用
安全性資金
- スーパー定期(銀行)
-
満期まで利率が変わらない預金
金利上昇局面では満期は短めがお得 - ニュー定期(郵便局)
-
途中解約すると利率が下がる
通常貯蓄・定額貯金と合わせて一人1000万円まで - 定額貯金(郵便局)
-
6ヶ月経過後出し入れ自由
半年単位で適用金利が上がる
通常貯蓄・ニュー定期と合わせて一人1000万円まで - 公社債投信(証券会社)
-
1万円単位で預ける
元本保証はないが、公社債中心の投資で安全性は高い
解約時に解約手数料が必要
利殖性資金
- 株式(証券会社)
-
リスクは高いが投資収益を得られる可能性あり
ミニ株を利用すれば、少額投資も可能
るいとうで時間分散投資も - 投資信託(証券会社)
-
1万円前後から投資できる。
運用手数料などのコストはかかるが
プロが分散投資するので個別株に投資するよりもリスクは低い - 外貨預金(銀行)
-
日本円よりも高金利、為替の影響で元本割れすることもある
日本円と外貨の交換手数料が高額なので短期売買はリスクが高い - 外貨MMF(証券会社)
-
為替手数料は外貨預金のおよそ半額、投資期間にも制限はない
外国債券や外国投信の受け皿としても使える - 外貨債券(証券会社)
-
海外の公社債、企業債に投資、外貨での償還額は確定している
為替相場の変動により元本割れする可能性もある
利殖性資金として、まとまった資金を用意できるのに、忙しくて投資に割り当てる時間が取れない方には、最近日本でも認可されたラップ口座を利用されてはどうでしょう。
このラップ口座に加入すると、証券会社が顧客の個別要望に応じて専門家が顧客と相談しながら最適な投資方法を提案してくれます。投資方針が決まれば、証券会社と一任契約してお任せで資金の運用がスタートします。
時間の取れないお金持ちの方は、ラップ口座を検討されてはどうでしょう