ゼロ金利解除で資産運用は
ゼロ金利解除によって大きな影響を受ける金融商品とあまり影響受けない商品があります。
まず言えることは、今後の金利上昇を考えると長期固定金利型金融商品に預けないことと、ローンを組む場合に変動金利型を選ばないことです。
預貯金で資産は増えるのか
日銀のゼロ金利解除で直接影響を受けるのは短期金融市場参照です。この市場は約5年間日銀によって金利がほぼ0%になるようにコントロールされていました。日銀はゼロ金利解除後0.25%に誘導目標を定めています。
(参照:分散投資が重要)
預貯金金利は、この短期金融市場にほぼ連動しています。ゼロ金利解除を受けて銀行や郵便局は預貯金金利の引き上げを発表しました。大手都市銀行では普通預金をこれまでの0.001%から0.1%へ、郵便局は0.005%を0.11%にそれぞれ引き上げました。
この金利引き上げで、預貯金は老後資金の預け先として有効でしょうか
(参照:普通預金と定期預金)
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上の表に示しましたように、0.001%から0.1%へ預金金利が上がっても、利殖と言うにはほど遠い受取金額です。1000万円預けていても1年間の受取利息は1万円程度(税引き後約8千円)です。
老後資金の運用、退職金の有効活用には老後資金の運用法にも述べましたように、リスク商品を含めた分散投資が必要だと思います。
定期預金などの安定型金融商品に投資するときは、今後の金利上昇を見越して、金利変動型にするか、満期までの期間が短い金融商品を選ぶべきです。
(参照:投資商品研究)
長期の金利固定型商品(5年物スーパー定期やニュー定期など)に預けると、預金後金利が上昇しても自分の預金金利は低いまま満期まで固定されます。これでは、せっかく金利が上がってもその恩恵を受けられません。
株価へはマイナスだが
一般的には、金利の上昇は株価へマイナスに働きます。なぜなら、企業は金融市場から資金を借りて事業資金とし、商品やサービスを売り上げて借りた資金を返します。借りる資金の金利が高まるとその分企業の利益率が下がります。企業が稼ぐ利益が下がると株価にも悪影響が出てくるからです。
さらに、金利が上がることで債券などの金融商品金利も上がり、株式投資から他の金融商品に乗り換える人が出てくることも、株価の低下要因となります。
(図参照:ニッセイアセットマネジメント/金利と株価の関係)
実際に、日本のバブル崩壊以降の国債金利と株価の推移を見てみましょう。
上図に示しますように、長期的に見ると教科書的な理論とは逆に金利が上がっても株価は下がらず、金利が下がっても株価は上がらない状態となっています。
原因はいろいろ考えられますが、株価の決定要因は金利だけではないということです。確かに、金利上昇は株価へはマイナス要因として働きますが、それ以外の株価プラス要因が強ければマイナス要因をうち消すことは有ります。
バブル崩壊以降の金融緩和、ゼロ金利が長期間続いたのに日経平均株価が長期間低迷したのが何よりの証拠です。金利だけで株価は決まりません。
それでは、今回のゼロ金利解除は今後の日経平均株価にどのような影響を与えるのでしょう。
金利上昇は短期的には株価を引き下げるかもしれません。しかし、金利上昇にかかわらず強い経済指標が確認されれば、長期的には日本の景気の強さが確認され力強い動きになると思われます。
債券価格への影響は?
債券の価格は、長期金利の影響を受けます。日銀のゼロ金利解除は、マネーマーケットと呼ばれる短期金融市場の金利には影響を与えます。しかし、長期国債などが取り引きされる長期金融市場とは別のマーケットです。
ですから、ゼロ金利解除したからといって、長期金利(債券価格)には直接反映されません。
長期金利は左図に示すように、インフレ率や経済成長率などの期待値(予想値)によって変化します。期待値というのは市場参加者の予想と言ってもいいでしょう。
実際、日銀がゼロ金利解除を宣言する数ヶ月前から長期金利は徐々に上がっていました、これは消費者物価動向や経済指標の改善で市場関係者の期待インフレ率および期待成長率が上がっていたからです。
ゼロ金利解除が直接債券価格に影響することはありませんが、経済情勢の好転で債券価格は下落傾向を示すかもしれません。しかし、債券は株式と異なり価格変動は大きくありません(参考:株式投資と債券投資)
さらに、償還時期まで待てば額面金額は戻ります(発行元が破綻しなければ)。
リスクを抑えるのでしたら、償還期間の短めの債券だけを投資対象にすればいいでしょう。さらに、債券だけを投資対象にした投資信託もありますので、検討されてはいかがでしょう。
(参考:投資信託の種類)
ローンを組むとき
これから、住宅購入などでローンを組む必要があるときは、固定金利型を選んでください。
右図に示しますように、金利の上昇時に変動金利型を選ぶと、将来市中金利がさらに上がったときにローン金利に苦しむことになります。
始めは変動金利型の方が固定金利型よりも金利が低いかもしれませんが、数年後には変動金利型の方が金利が高くなる可能性があります。