年金分割は妻に有利か?
2007年4月から、離婚した時に夫の厚生年金の一部が妻にも分割される制度が始まります。この制度が始まるのを待って離婚待機している女性が多いと言います。さて、本当に離婚して厚生年金を分割支給された方が女性が受け取る年金額は多くなるのでしょうか、試算してみます。
年金支給額比較(左:離婚しない場合/右:離婚分割した場合)
離婚しない場合の年金支給
上図左側が、夫婦は離婚せず、夫が65歳以降に死亡した場合の年金支給額見込みです。
ご主人、奥様とも年金支給年齢に達すれば、それぞれ基礎年金部分が支給されます。ご主人が厚生年金に加入されていれば厚生年金も支給されます。さらに、ご主人の年金支給開始時期に奥様が65歳以下で年収が850万円以下でしたら、加給年金も支給されます。加給年金は、奥様が年金を支給される65歳まで支給されます。奥様が年金支給を開始された後は、額は減りますが振替加算という形で奥様の年金に加えられます。
もし、ご主人が先に亡くなられたときは奥様には遺族厚生年金としてご主人の厚生年金支給額の3/4が奥様に支給されます。ただし、奥様が再婚されると遺族厚生年金は支給されません。
離婚分割した場合の年金支給
上図右側が、離婚して厚生年金を分割支給した場合の支給額見込みです。
離婚した場合、奥様本人が年金支給開始時期までは年金は支給されません(厚生年金も支給時期選択制度が始まる見込みです)。厚生年金分割が認められるのは結婚期間に対する厚生年金ですので、夫の厚生年金全体ではありません。更に分割額は最大でも婚姻期間の厚生年金の50%です。
ご主人と死別した場合の遺族厚生年金が、婚姻期間に関係なく厚生年金の3/4であるのに対し、離婚分割で支給される厚生年金はかなり低くなります。
離婚問題は単純に年金支給額だけで決まることではありませんが、厚生年金分割制度が始まったからと言って離婚は金銭的にはあまり得策ではないようです。
離婚した場合に受け取れる年金額を教えてもらえる制度を社会保険庁が始めています。気になる方は問い合わせされるといいでしょう。もちろん夫婦の相手方には知られずに調べられます。