政管健保が協会けんぽに移行
日本では国民全員が何らかの公的医療保険に加入する皆保険制度を取っています。
病気にかかったときに安心して医療受けられる大切な制度です。公的医療制度のうち、政府管掌健康保険(政管健保)に変更がありました。この変更が私たち被保険者にどんな影響があるのか検討します。
日本の公的医療保険制度
医療保険制度の加入者割合(2007年3月)
公務員を除くと日本の公的医療保険は、企業に勤める社員が加入する健康保険(被用者保険)と自営業者が加入する国民健康保険(国保)に分けられます。
健康保険はさらに、主に大企業が自前で運営する健康保険組合と、自前で組合を運営できない中小企業対象に全国健康保険協会(旧:社会保険庁)が運営する協会けんぽ(旧:政府管掌健康保険)があります。
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国民健康保険(国保)は個人事業主や政府管掌健康保険の認可を申請していない個人事業主の従業員やその家族、無職の人が加入します。国民健康保険は市町村が運営するので「地域保険」とも呼ばれます。
政管健保が協会けんぽへ
協会けんぽの新たな被保険者証
2008年10月1日より、従来の政府管掌健康保険(政管健保)から全国健康保険協会(協会けんぽ)に運営主体が変わりました。
この変更で何が変わったのか、何が変わらないのか説明します。
「協会けんぽ」移行で変わること変わらないこと
- 名称(運営主体)
- 全国健康保険協会(略称:協会けんぽ)
- 職員の扱い
- 公務員ではない
- 組織形態
- 都道府県単位
- 加入者
- 従来と同じ
(健康保険組合のない企業の社員および家族) - 保険証
- 新しい保険証(被保険者証)に変わる(上図参照)
一番大きい変更は、運営主体が従来の社会保険庁から新たな公的法人である全国健康保険協会(略称、協会けんぽ)に移行したことです。トラブルの多かった社会保険庁は2010年に廃止されることが決まっているので、健康保険業務を早めに切り離したというわけです。運営主体が変わったことで被保険者証も変更されます。勤め先を通して新しい保険証が交付されます。
協会けんぽは役所ではなく民間企業と同じ扱いとなるので、民間のノウハウなどを取り入れやすくなりサービスの向上を目指すと訴えています。さらに協会けんぽは各都道府県に支部を置き、支部単位で意志決定を行います。これは、現在一律の保険料などが将来支部単位(各都道府県単位)で変わってくる可能性を示しています。
組合健保の解散が増える
現在企業が運営する健康保険組合に加入しているサラリーマンも今回の「政管健保」の「協会けんぽ」への移行は無関係ではありません。最近、健康保険組合を解散する企業が増えているからです。これは健康保険組合の財政状態が悪化し、組合を維持するため企業負担が増大していることがあります。勤め先の企業が健保組合を解散すれば、従業員は協会けんぽに移行することになります。
現在全国に約1500ある健保組合の内、253組合は協会けんぽ(政管健保)の保険料率よりも高い料率を課しています。料率上昇の原因は財政が悪化し保険料率を上げないと組合を維持できないからです。これらの組合は近い将来解散する可能性が高いと考えられます。
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サラリーマンが退職後どんな公的医療保険を選択すればいいのか、この記事で確認できます。
(参照:健康保険の選択)