ゼロ金利解除で年金はどうなる

約6年ぶりにゼロ金利が解除されました、年金にどのような影響を与えるのでしょう。
普通預金金利が上がっています、年金支給にも何らかの影響をもたらすのでしょうか、ゼロ金利解除が年金支給に与える影響を考えます。

年金額への影響

ゼロ金利解除と年金額

日銀の市場金利の引き上げは、年金額にどのような影響を与えるのでしょう。

公的年金の支給額は日銀の市場金利には影響されないのですが、市場金利の決定要因の一つである消費者物価指数に連動するのです(注1)

したがって、ゼロ金利解除は直接には公的年金に影響はありませんが、ゼロ金利解除の要因となった消費者物価指数など日本の経済状況の変化は公的年金の支給額に影響を与えるのです。

注1:2004年の年金制度改革で物価スライド制からマクロ経済スライド制に制度変更されました/詳しくは下記記事参照:物価スライドとマクロ経済スライド

物価スライド制

最近の消費者物価指数と公的年金支給額に影響する物価スライド率を次の表に示します。

公的年金の物価スライド
年度 消費者物価指数 年金物価スライド率
平成11年 マイナス0.3% 平成12年1.0(凍結)
平成12年 マイナス0.7% 平成13年1.0(凍結)
平成13年 マイナス0.7% 平成14年1.0(凍結)
平成14年 マイナス0.9% 平成15年0.991
平成15年 マイナス0.3% 平成16年0.988
平成16年 ±0.0% 平成17年0.988

上の表で平成11年から平成13年まで、消費者物価指数がマイナスなのに年金の物価スライド率は1.0のままに凍結されました、法律による年金額の特例措置です。
ただ、この特例措置は問題を先送りにしただけで、「この3年間でマイナス1.7%分年金額を引き下げなかった分、将来物価が上がっても引き上げません」となりました。
つまり、「今後消費者物価が上昇しても、平成11年から平成13年間のマイナス1.7%分上昇するまでは、公的年金の支給額は引き上げません」ということなのです。

2007年度の国民年金保険料が決まりました。詳しくは「国民年金保険料引き上げ幅」記事をご覧下さい。

物価スライドとマクロ経済スライド

物価スライドとマクロ経済スライド

年金制度改革により、公的年金の重要な特徴である物価スライド制度についても、内容が修正されました。

物価スライド(年金制度改革前適用)
消費者物価指数の変動に合わせて年金額の支給額を調整する制度。
数十年にわたる年金支給期間に大幅な物価上昇で、貨幣価値が下がっても 年金生活者が困らないように、物価水準に合わせて年金額を決める。
マクロ経済スライド(2005年4月以降適用)
年金額は、働く世代の減少や年金受給者の高齢化に応じて決める調整率(今のところ0.9%)を消費者 物価指数から減じた数値を年金改定値にするというもの。
消費者物価指数が上がり続けた場合、実質的に年金生活者の生活は苦しくなる。

ゼロ金利解除で消費者物価指数が、今後どうなるか分かりませんが、年金生活者にはマイナス要因ばかりと受け取られるでしょうか。
私が感じるのは、マクロ経済スライドにより100%物価上昇に追いつかないとはいえ、「個人年金にはない大きな特徴である物価上昇につれた支給額の改定制度」は公的年金の最も大きなメリットです。

老後の経済を支える基本はやはり公的年金以外にないと思います。

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