保険の見直し
日本人の生命保険加入率は95%を超えると言われています。しかし、その目的を理解して加入されているでしょうか。保険勧誘員に進められるまま加入してしまった方が大半だと思います。
保険に入る目的を考えてみましょう。定年前までは、ご主人の死亡による遺族への補償が最も重要な保障目的だと思います。それに続いて、医療保障や貯蓄保険などが考えられます。
定年後は、遺族補償として必要な金額は減少し代わりに医療保障や年金保障に重点が移ってきます。
定年前後でどのように保険を見直すべきか表にまとめました。詳細は表中の商品名をクリックして詳細記事をご覧下さい。
定期保険
一般の生命保険はほとんど定期保険です。あらかじめ定めた期間(5年、10年など)に被保険者が死亡すれば設定した補償額が支払われます。
定期保険は保険期間が満了しても、自動的に継続されます。定年を機会に保険を見直す場合は、早めに保険会社に連絡しておきましょう。
関連情報リンク
生命保険の死亡保障金額算定
死亡保障金額の算定方法を解説
逓減定期保険
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一般的には定年前後の年齢になると、ご主人が死亡した場合の遺族への保障必要金額は徐々に少なくなっていきます。なぜなら、預貯金はある程度用意されていますし、退職金もあり、子供も独立してる場合が多いからです。
ところが、定期保険は掛け捨てで補償額は一定金額のままなので、保険に無駄が発生している可能性があります。
そんなとき有利なのが、「逓減定期保険」です。
死亡率は年齢とともに高くなるので、高年齢時の補償額を減らし保険料を割安に抑えた保険商品です。たばこを吸わない方なら非喫煙タイプに加入すればさらに保険料を安く抑えられます。
定期医療保険
これまで医療保険は定期保険の特約として加入しておられる方が多かったです。このような更新型の医療保険は年齢が高くなるに従って、保険料が高額になってきます。さらに、更新型の医療保険は80歳までしか加入できないものが多く、日本人の長寿化によっていささか不安を抱かれる方もおられることでしょう。
終身医療保険
定年前後の年齢になると、健康への不安から医療保険への加入を検討される方が増えます。その場合、終身医療保険を検討されてはどうでしょう。
始めから、死ぬまで医療保険に加入するつもりなら、更新型の医療保険よりも、保険料が割安になります。さらに、終身型なら80歳以降も保障されるので長生きリスクにも対応できます。
貯蓄保険
保障よりも貯蓄に重きを置いた保険が貯蓄保険です。3年から5年程度の比較的短い保険期間で、満期時に満期保険金が受け取れます。
貯蓄性を重視した保険には養老保険もあります。養老保険は比較的長い保険期間を設定でき、老後資金や教育資金目的で利用されています。
貯蓄保険も養老保険も低金利の影響で予定利率が下がり、かつてほどの貯蓄性はなくなっています。
変額年金
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退職金の運用先として、最近脚光を浴びているのが変額年金です。変額年金保険とは個人年金保険の一種ですが、定額の年金保険との違いは払い込んだ保険料の一部を「特別勘定」として契約者自身が選んだ投資先で運用され、その結果次第で受取年金額が増減するという保険商品です。
上の表に示すように、変額年金保険にもいくつかのタイプがあり、ご自分のライフスタイルにあった保険タイプを選ばれるといいでしょう。注意すべきは、本来投資成績によって年金額が増減する保険であるのに、最低保障とか原資保障などというしくみを採用してコスト高になっている変額年金保険があることです。年金額に最低保障が必要であれば、定額の個人年金保険に入られた方がコスト的には有利です。
変額年金保険は、投資信託と保険を組み合わせた商品ですが、投資信託よりも有利なのは、「特別勘定」の分配金は年金受け取り時まで課税が繰り延べされることです。つまり、複利運用効果が高いというわけです。さらに、相続時の死亡保険金に対する非課税枠も使えるので、相続対策としても有利です。