宙に浮いた年金記録進捗状況
「宙に浮いた年金記録」が5000万件にも上る問題で、社会保険庁などが2007年から「年金記録問題の対応策」を進めてきました。この「年金記録問題の対応策」の進捗状況を報告する有識者会議が2008年6月30日に開かれました。
ここで説明された内容を見ると改めて「宙に浮いた年金記録」の解明が遅れていることが明確になりました。
社会保険庁は2007年12月から「ねんきん特別便」の発送をはじめ、未解明記録の多くが特定されると目論んでいました。しかし「ねんきん特別便」の回答率は54%に過ぎず記録漏れがあると見られる多くの人からの回答がありませんでした。
「ねんきん特別便」の不備や不親切との指摘を受けて厚生労働省および社会保険庁は、「ねんきん特別便」の情報掲載方針を改め、宙に浮いた年金記録に結びつく可能性のある人にはその情報も記載することになりました。
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上記の表で「解明済み」とされている件数には死亡したと見られる341万件も含まれていますが、この中にも宙に浮いた年金が含まれている可能性はあります。
消えた年金以外にも入力ミスなどで500万件以上にミスの可能性
「宙に浮いた年金記録」以外にも公的年金記録には多くの不備が指摘されています。社会保険庁が年金原簿の新検索システムをテストする目的も兼ねて、厚生年金記録とマイクロフィルムなどの原簿のチェックを行ったところ、データの不一致が1.4%も見つかったのです。
サンプル調査では2万件をテストして277件の食い違いを発見したというのです。
不一致率 277 ÷ 20000 = 1.385%
食い違いの277件の内訳は次の通り
- 食い違い 215件
- 標準報酬月額や加入・脱退年月日に関するデータに食い違いが見つかったもの
- 未記入 48件
- 全くデータが記入されていなかったもの
- その他 14件
- 氏名や生年月日の違いも見つかっている
原簿とコンピュータ上の記録に1.4%もの違いがあるのは社会保険庁も予想外で、この不一致率を原簿の総数4億件に当てはめると312万件もの食い違いが存在することになり、新たな年金記録問題として取り上げられることになるでしょう。