自分年金の提案
日本人の少子高齢化で公的年金だけでは、基本生活費にも不足することは、ご自身の年金予想額からも明らかなとおりです。
(参照:公的年金支給額計算)
サラリーマンや公務員は厚生年金や企業年金があるので安心と思いきや、企業年金も代行返上などで給付が減額される事態が起こっています。日本の経済政策・年金制度は、老後の経済設計も自己責任で行うことを求めているようです。
現実的な対処方法として、現役時代に貯めた貯蓄を取り崩し自分年金として公的年金の不足分をカバーするのが一般的でしょう。金融広報中央委員会の調査でも、60歳以上の世帯では貯蓄の取り崩しを行っている世帯が23%にも達しています。(参照:退職後の収入)
自身の金融資産を年金に使うには二つの方法があります。
一つは、元本には手をつけず利息だけを年金に利用する方法、もう一つは利息だけでなく元本も取り崩して年金とする方法です。
どちらの方法にせよ自分の老後生活を守るためには、しっかりした計画性と綿密な計算が求められます。
次の項目で具体的に自分年金を設計してみましょう
利息だけの自分年金
自分年金を作る一つの方法として、預貯金の元本には手をつけず利息や配当だけを年金として利用する方法です。この方法はインフレリスクはあるとはいえ、長生きリスクには対応できます。
実際にいくらぐらい年金原資として用意すれば、公的年金の不足分を補填できるでしょうか。次の表で計算してみてください。
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毎月1万円ずつ受け取るだけでも、あまり低い利息の金融商品に預けていては、相当高額の元金が必要になります。上記の受け取り月額は源泉税徴収前の金額ですのでここからさらに20%の税金を引かれます。現実的には2〜3%以上の利息がないと、年金としては利用できないのではないでしょうか。
ただし、高金利商品は元本が保証されないものがほとんどです。元本保障のないものは商品リスクをよく検討してください。
預貯金取崩年金
利息や配当金だけで年金設計すると相当高額の元本が必要になります。そこで、元本も取り崩しながら利息や配当金と合わせて自分年金とした場合、どれくらいの期間使えるものでしょうか。
下記に取崩年金を預貯金として預けながら定期的に取り崩し、何年間年金として使えるのか計算表を用意しました。具体的な数字を入れて計算してみてください。
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取崩年金とするとあまり大きな元本がなくても、まとまった額の年金を受け取ることができますね。 ただし、高金利商品の中には途中解約すると解約金を取られたり、一部解約ができないものがありますので注意してください。さらに、投資信託や外貨預金などのように元本保証されない金融商品は元本が目減りする可能性があります。取り崩し年金の預け先はよくご検討下さい。
自分年金の具体案
利息年金はかなり高額の元金を用意しないと年金額が少なくなり、取崩年金は取り崩した後預貯金がなくなるという問題があります。
そこで、下記のように利息年金と取崩年金を組み合わせた自分年金を設計されてはどうでしょう。
(源泉税徴収税額は考慮していません)
この例では、手元資金として2000万円を準備できたとし、利息年金と取崩年金に二分割して別に運用することにします。
利息年金は元本保証されていませんが、ある程度の利息が受け取れる毎月分配型の投資信託や外貨預金で運用します。取崩年金は定期的に解約するので、銀行の普通預金や郵便局の通常貯金に預けることとします。
この自分年金では、当初の20年間は利息年金の約2万5千円と取崩年金の約4万1千円を合わせて約6万円毎月受け取れます。20年後は取崩年金がなくなるので利息年金の約2万5千円だけとなります。
20年後取崩年金はなくなりますが、利息年金の元本が残っているのでそのお金を使って新たな自分年金を設計することも可能です。