個人向け国債と銀行預金
日銀が発行する個人向け国債は、2006年7月のゼロ金利解除で販売額が増加しました。しかしその後、大手銀行などが実施している預金獲得キャンペーンなどに押されて販売額が低迷しています。
個人向け国債販売が減少
個人向け国債販売額の推移(変動金利型国債)
個人向け国債の販売が減少を続けています。上のグラフは2005年4月からの個人向け国債(10年物変動金利型)の販売額推移を示したものです。個人向け国債には上のグラフに示した変動金利型のほかに5年満期の固定金利型もあります。
日銀がゼロ金利を解除した2006年7月には、変動金利型、固定金利型合わせて、2兆2243億円売れました。しかしその後売れ行きは減少し2007年4月発行分は1兆1805億円まで減少しました。この販売額は2006年7月の販売額の半分近くまで落ち込んでしまいました。
個人向け国債の販売が減少している原因は、個人資産が銀行などの預貯金に流れていることが大きな原因といわれています。
個人向け国債と銀行預金比較
最近の個人向け国債の販売額減少は、個人資金が銀行などの定期預金に流れているからだとの分析です。それでは、個人向け国債と銀行の定期預金の条件を比較してみましょう。
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ゼロ金利解除で少しずつ金利が上昇している個人向け国債の金利は、2007年4月発行分で、変動金利型10年物国債が年0.87%、固定金利型5年物国債が年1.13%です。これに対し大手銀行の5年物定期預金は、せいぜい年0.55%前後です。
これでは、銀行預金よりも個人向け国債のほうが金利面では有利だと思います。ところが、銀行では各種のキャンペーン金利を実施しているのです。たとえば、団塊世代が大量退職することを先読みして退職金の受け皿とするべく、退職金専用の特別口座などを用意し、通常金利よりも数%高い金利を設定しているのです。
ただし、これらキャンペーン金利には落とし穴があります。高い金利が適用されるのは、預け入れ当初の1ヶ月〜3ヶ月程度で自動継続される2期以降は通常金利に引き下げられます。数年単位で受け取れる利子額を比べると個人向け国債の方が有利なことも多いです。
(参照:みずほ銀行退職金専用定期)